気づけば、休日に予定が入ることが増えていた。
以前の僕なら、休日はできるだけ家から出なかった。
カーテンを閉めたまま、ゲームをしたり、テレビを眺めたり。
誰とも会わず、一日が終わることも珍しくなかった。
外へ出る理由もなければ、出たいという気持ちもなかった。
でも、日本酒会の仲間と知り合ってから、少しずつ休日の過ごし方が変わり始めた。
「今度どこで飲もうか。」
「こんなお店見つけたよ。」
そんな連絡が来るだけで、自然と予定が決まっていく。
予定がある休日は、不思議と朝から気持ちが軽かった。
待ち合わせ場所へ向かう道。
駅まで歩く時間。
電車に揺られる時間。
以前なら何も感じなかった景色が、少しだけ違って見えた。
季節の空気や街の雰囲気。
そんな何気ないものに目が向くようになっていた。
仲間と食事をして、お酒を飲み、たくさん笑う。
特別なことをしているわけじゃない。
それでも、その時間は確かに楽しかった。
「休日って、こんなふうに過ごすものだったな。」
そんなことを思うようになっていた。
離婚した直後は、楽しいという感情すら遠いものだった。
笑うことはあっても、心から笑えている気がしなかった。
何をしていても、どこか心に穴が空いたまま。
時間だけが過ぎていく毎日だった。
でも、人とのつながりができてからは、その穴が少しずつ埋まっていくような感覚があった。
誰かと会う約束がある。
次の休日が楽しみになる。
そんな小さな変化が積み重なって、毎日の景色まで変えてくれた。
もちろん、この頃には悩みがなくなったわけではない。
将来への不安もあったし、一人になると考え込む日もあった。
それでも、以前とは違った。
前だけを向ける日が少しずつ増えていた。
人生は、ある日突然変わるものじゃない。
昨日まで灰色だった景色が、今日になって急に鮮やかになるわけでもない。
だけど、人との出会いや何気ない時間は、少しずつ心の色を変えてくれる。
振り返れば、この頃の休日には以前とは違う空気が流れていた。
何か大きな出来事があったわけじゃない。
それでも、確かに変わっていた。
灰色だった毎日に、少しだけ色が戻り始めていた。
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