ダーツを再開した頃の私は、とにかく投げていた。
考えながら投げる日もあれば、何も考えず無心で投げ続ける日もある。
思ったところに飛ばなければ、
「どうしてこういう動きになるんだろう。」
「どこを見れば狙ったところに投げられるんだろう。」
そんなことを考えては、また投げる。
答えが見つかったと思っても、また新しい疑問が出てくる。
その繰り返しだった。
すぐに結果が出たわけではない。
昨日できなかったことが今日できるようになる、そんなこともなかった。
一つ気付き、試してみる。
また気付き、試してみる。
考える。
無心で投げる。
また考える。
そんな時間を積み重ねていた。
ダーツには「ブル」と呼ばれる、中心にある一番狙うことの多い場所がある。
ある日、プレーのデータを見返していた。
以前より、ブルに入る回数が増えていた。
派手に変わったわけじゃない。
でも、数字は正直だった。
「着実に変わってきたな。」
そう感じた。
たまたま調子が良かったわけではない。
考えて、投げて、積み重ねてきた時間が、少しずつ結果になって表れていた。
その時、積み重ねることは無駄じゃないんだと思えた。
離婚してからの私は、自分に自信を持てなくなっていた。
だからこそ、その小さな変化が嬉しかった。
人生は、一気に変わるものではない。
でも、一つひとつ積み重ねていけば、少しずつ前へ進める。
ダーツは、そのことを私に教えてくれた。
今振り返ると、あの時間はダーツの練習だけではなかったのかもしれない。
昨日の自分より少し前へ進むこと。
焦らず積み重ねること。
そんなことを、私はダーツを通じて知らないうちに学んでいたのだと思う。


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