気付けば、今年も終わりが近づいていた。
ダーツを再開した頃、私は一つの目標を決めていた。
「今年中にAフライトになる。」
思うように結果が出ない日もあった。
悔しい思いをした日もあった。
それでも、自分なりに続けてきた。
年末休暇に入り、その日もいつものようにダーツバーへ向かった。
「今日もダーツに行くか。」
そんな普段と変わらない一日だった。
店員さんといつも通り対戦をした。
ゲームが終わり、レーティングを確認すると数字が更新されていた。
10.11
目標だったAフライトになっていた。
店員さんから、
「おめでとう。」
と声を掛けてもらった。
嬉しかった。
「自分でもできるんだ。」
そう思った。
店を出る時は、いつも通り、
「また来ます。」
と言って帰った。
帰りの電車でも、何度もレーティングを見返した。
家に帰ってからも、もう一度画面を開いた。
見ているだけで嬉しかった。
少しだけ、自分を褒めたくなった。
ここ数年、具体的な目標を決めて何かに取り組むことはなかった。
だから、この達成感は本当に久しぶりだった。
その日は夜も遅かったので、お風呂に入って眠った。
当初からの目標だったAフライトを達成できたのは、本当に嬉しかった。
でも、不思議と終わったという気持ちにはならなかった。
むしろ、ダーツは前よりもっと楽しくなっていた。
今振り返ると、あの頃には離婚のことを毎日のように考えることは少なくなっていた。
仲間と笑いながらダーツを投げる。
休日にはみんなで集まる。
また会える日を楽しみに仕事へ向かう。
そんな毎日が、いつの間にか当たり前になっていた。
だからといって、何か一つの出来事で人生が変わったわけではない。
時間が過ぎたこともあった。
いろいろな人と出会ったこともあった。
趣味に夢中になれたこともあった。
その一つひとつは、とても小さな出来事だった。
でも、振り返ってみると、その積み重ねが少しずつ私の見える景色を変えてくれていた。
あの頃の私は、そのことにはまだ気付いていなかった。


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