休日に仲間と過ごす時間が増え、少しだけ日常に色が戻り始めていた頃。
ある日、友人から久しぶりにダーツへ行こうと誘われた。
「そういえば、ここ数年やってなかったな。」
そんなことを思いながら、私はその誘いを受けた。
久しぶりに声をかけてもらえたことが、素直に嬉しかった。
当時は、その一日が自分の人生を少しずつ動かし始めるきっかけになるなんて思ってもいなかった。
久しぶりに投げたダーツは、思っていた以上にうまくいかなかった。
以前はもっと投げられていたはずなのに、狙った場所へ思うように飛ばない。
「こんなに下手になっていたのか。」
その悔しさは、自分でも驚くほど大きかった。
友人との対戦が終わっても、その気持ちは消えなかった。
「次は見返してやりたい。」
そんな気持ちが自然と湧いてきた。
家に帰る頃には、「もう一度ちゃんとやってみよう」とほぼ決めていた。
数日後、私は家にダーツボードを設置した。
あの頃の私は、ただ友人に勝ちたかった。
ちゃんと練習したら、どれくらいうまくなれるんだろう。
そして、いつか友人をあっと言わせたい。
そんなことばかり考えていた。
もちろん、その先のことなんて考えていなかった。
人との出会いも、人生が変わることも、何ひとつ想像していなかった。
ただ、もう一度ダーツをやってみよう。
それだけだった。

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