あの頃の私は、毎日ダーツのことを考えていました。
仕事が終わればダーツ。
休日もダーツ。
「今日はどんな練習をしよう。」
「昨日できなかったことが、今日はできるかな。」
そんなことを考えながら仕事をしていました。
少しずつ思うように投げられるようになり、できることが増えていく。
その小さな変化がうれしくて、気付けばダーツは生活の一部になっていました。
ダーツバーへ行けば、一緒に笑い、一緒に悔しがる仲間がいました。
気が付けば、「また来たよ。」と言える場所になっていました。
もっと上手くなりたい。
もっと投げたい。
そんな気持ちはありましたが、不思議と「頑張らなきゃ」と思ったことはありません。
ただ、楽しかったんです。
その頃になると、職場でも自然とダーツの話をするようになっていました。
「昨日もダーツに行ってきたんですよ。」
「最近、本当にハマってるんです。」
好きなことだから、話したくなる。
誰かに伝えようと意識していたわけではありません。
ただ、楽しい気持ちが、そのまま言葉になっていました。
ある日、職場のエレベーターで、普段は事務処理の時に少し話すくらいの人と一緒になりました。
その日も、いつものようにダーツの話になりました。
「最近ダーツにハマってるんですよ。」
そう話すと、
「ダーツってやったことないんですけど、面白いんですか?」
と聞かれました。
「面白いですよ。」
そう答えると、今度は自然とこんな言葉が出てきました。
「よかったら、一緒にやってみませんか?」
誘おうと決めていたわけではありません。
ダーツ仲間を探そうと思っていたわけでもありません。
ただ、自分が楽しいと思っていることを、誰かにも知ってもらえたらうれしい。
その時は、それくらいの気持ちでした。
少しだけ間があって、
「面白そうですね。」


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