約束した日が来た。
とはいえ、当日になっても、どこか冷静な自分がいた。最後までドタキャンはあり得ると思っていたからだ。期待しすぎないようにしていたのかもしれない。
待ち合わせ場所に行くと、ちゃんと相手がいた。「あ、本当に来たんだ」。そんなことを思った。実際に会うと、少し緊張した。
それでも、話し始めてしまえば普通だった。振り返ってみると、たぶん自分の方がよく話していたと思う。
そして、いよいよ初めて二人でのダーツが始まった。
相手にとっては初めてのダーツ。せっかく来てくれたんだから、楽しんでもらいたい。そんな気持ちで接していた。実際に相手は楽しんでくれていて、「よかった」と思った。
そんなふうに普通に楽しく過ごしていた。
ところが、途中で少し休憩しながら話していた時だった。
相手が「こんなに楽しいことがあってもいいのかな」と言いながら、手を握ってきた。
「えっ?」
さすがに戸惑った。でも、嫌ではなかった。むしろ嬉しかった。そして、もしかして――と思った。
そこで、自分から聞いた。
「自分に興味があるの?」
すると、「あるよ」と言われた。
そこで初めて、相手が自分に気があるんだと分かった。
嬉しかった。ただ、それと同時に「なんで?」とも思った。だって、まだそんなに相手のことを知らない。話した時間だって、そこまで長かったわけじゃない。
そんな自分に、どうして?
そんな戸惑いもあった。
でも、せっかくこういう気持ちになってくれているなら、自分のことも先に伝えておこうと思った。
自分はバツイチだ。
付き合ってから、「実はバツイチなのはちょっと……」となるのは嫌だった。だから、先に話しておきたかった。
返ってきたのは、「そうなんだ」くらいだった。その反応を聞いて、少し安心した。大丈夫なんだ、と思った。
その後、自然な会話の中で、自分が独身なのかどうかも聞かれた。相手は不倫は嫌だと言っていた。そこは自分も当然だと思った。
そして、もう一つ気になったことがあった。
年齢差だ。
15歳差。
正直、相手が若すぎることに驚いた。
自分にとって、年齢差は付き合うことを考えるなら結構大きい。だから、相手にも聞いてみた。
「年齢差、気にしないの?」
すると、「気にしない」と言われた気がする。
そう言われても、「そうなんだ……」という感じだった。
嬉しい。でも、やっぱり展開が早い。
そんな感覚はずっとあった。
その後、ダーツを終えて食事に行った。
さっきまでとは少し違っていた。相手の気持ちが分かったから、どうしても意識してしまう。それでも、楽しかった。
帰る頃には、最初に会った時とは少し違う空気になっていた。
帰り道、今度は自分から手を握った。
先に手を握ってくれたことへの、自分なりの答えだった。
手を繋いで駅まで帰った。嬉しかったし、また会いたいとも思った。このまま付き合う方向なのかな、とも少し思った。
でも、それ以上に「早くない?」という気持ちもあった。
今日一日で、ここまで進むのか。
そんな戸惑いは消えなかった。
向こうに気がある。
そう思った。
だったら、このチャンスは生かしたい。
相手もまた会いたいと思ってくれているなら、自然に次につなげればいい。
帰る途中、楽しかったなと思った。それと同時に、進展が早いなとも思った。
あまりにも早すぎて、まだ現実感がない。そんな感覚のまま、帰路についていた。


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