仕事は忙しかったけど充実していた。
気づいたら、過去のことを考える時間は本当に少なくなっていた。
もちろん昔のことを思い出すことはあった。
でも、不思議と辛くなることはなくなっていた。
「あの時は本当に苦しかったな。」
そう思うことはあっても、それ以上気持ちが沈むことはなかった。
当時は毎日を過ごすだけで精一杯だった。
先のことなんて考える余裕もなかったし、こんなふうに昔を思い出せる日が来るなんて想像もしていなかった。
でも、毎日を積み重ねていくうちに、自分は少しずつ変わっていた。
毎日の積み重ねって、黒い水に白い絵の具を一滴ずつ落としていくようなものなのかもしれない。
一滴では何も変わっていないように見える。
それでも一滴、また一滴と積み重ねていくと、気づいた時には少しずつ色が変わっている。
気づいたら、自分もそんなふうに少しずつ変わっていたんだと思う。
昔を思い出しても辛くならなくなっていた。
それが、自分にとって一番大きな変化だった。
前より少し強くなれた。
そう実感できる毎日だった。


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